SSH(スーパーサイエンスハイスクール)

茶畑 SR times 第16号 「益川塾シンポジウム」

sr times 16号


12月7日(金)に東京国際フォーラムにておいてノーベル物理学賞受賞者である益川敏英教授が主催する益川塾第6回シンポジウム「宇宙にときめく」が開催されました。 このシンポジウムは益川教授による特別授業,高校生によるポスターセッション,探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーを務めた川口淳一郎氏による基調講演, サイエンス作家の竹内薫氏,京都産業大学神山天文台長を務める河北秀世氏と益川教授,川口氏によるパネルディスカッションと充実した内容でした。  はじめに,益川教授による高校生に対する特別授業が行われ,「君たちの研究意欲が次世代の発見を創り出す」という力強い激励のメッセージをいただきました。

《益川敏英教授特別授業》 「夢の追求~高校生の君たちへ」

 若者を科学に向かわせる力は憧れとロマンだ。高校生ぐらいになると, 偉大な科学者や科学技術に憧れを抱き,自分で検証したり実験したりする。やってみると奥が深く,思うようにいかないのだが,その過程こそが成長を促し, 進むべき道を拓く。
 現代科学は原理的なことが分かってから人々の実用に供するまで100年かかる。たとえば,ある種の金属をマイナス270度近くまで冷やすと電気抵抗なしに電流が流れる 「超電導」を,オランダのオンネスが発見したのは1911年。別の科学者によって理論が確立したのは1957年。実用に近づいたのはごく最近で, 日本でも超電導リニア新幹線の実験が始まっている。電磁気学を集大成したマクスウェル方程式は1864年に発表されたが,本質的に使われたのは約80年後, 第二次世界大戦の軍事レーダーの研究だった。
 よく「それは何の役に立ちますか」と聞かれるが,一生の内に答えが出るかどうか。NASAが人工衛星用に開発したヒートポンプパイプのように, 短期間で身近に応用される例もなくはないが,あくまで派生効果だ。ノーベル賞も論文発表から受賞までは大きなタイムラグがある。科学者は目先の利益を追わず, ロマンを求めて自由に旅するドン・キホーテであるべきだと思う。

 益川教授の特別授業に続いて,川口氏による基調講演が行われました。節々にユーモアをまじえ,あっという間に終わった講演でした。川口教授は私たちに対して 「温故知新という言葉があるが,大きな発見をするには古きを省みるよりも,誰も見通していない先を見る必要がある」ということをおっしゃっていました。 講演の内容を裏面に記します。

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 2008年ノーベル物理学賞受賞
                 益川敏英 教授

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宇宙航空研究開発機構
           川口淳一郎 シニアフェロ-

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       サイエンス作家 竹内 薫 氏

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 京都産業大学上山天文台 河北秀世 台長

 《川口淳一郎氏講演》 『「やれる理由」を見つける』

 「はやぶさ」プロジェクトに対する世界の目は,当初冷ややかだった。「固体ロケットなんかで惑星探査ができるものか」と。 でも「やれる理由」を探す我々の文化がこれを叶えた。はやぶさは小惑星イトカワを往復し,微粒子を持ち帰る世界初の快挙を果たした。
小惑星を調べれば,地球の構成材料が分かる。地球は小惑星が集まってできた星だからだ。しかし,イトカワの微粒子には水も炭素も含まれていなかった。 地球の形成に関与した別のタイプの小惑星があるはずで,それを確かめるべく,「はやぶさ2」を来年,1999JU3という小惑星に打ち上げる予定だ。
はやぶさの快挙は,宇宙間往復飛行の技術を開発し,宇宙滞在、宇宙資源利用につなげるステップでもある。何十年か先には飛行機とロケットの境界がなくなり, 高度3,4万メートルを音速の5~10倍で飛ぶ極超音速のスペースプレーンが登場するだろう。その時,空を移動する誰もが眼下に地球を見下ろす。 いつまでも危険なロケットで人を宇宙に放ってはいけない。
宇宙開発は常に前例のない挑戦だ。「見えない未来を探るには,過去に頼る学びのスタイルから脱却しなければならない。閉塞した状況でも,こうすればできる」と, やれる理由を見つける人が,一人でも多く出てきてほしい。

 高校生によるポスターセッションにおいて,仙台一高からは物理部と地学部が研究発表を行いました。
 物理部の発表は「The East-West Effect on Cosmic Rays」というテーマで,英語で書いたポスターを使用しての発表となりました。 研究テーマである宇宙線の測定は,現在ごく少数の高校でしか行われておらず,多くの方が興味を抱いてくださいました。 益川教授は専門としている素粒子物理学に関連の深い宇宙線の研究にとても興味を抱いてくださったようで,最初に私たちの発表を見に来てくださいました。 また,サイエンス作家の竹内氏には英語でプレゼンテーションをしました。英語での質疑応答に竹内氏からは,「英語で質問したのについてきてくれてうれしかった。」 という感想をいただきました。
 地学部は「C/2012S ISON彗星の測光観測」というテーマで発表を行い,川口氏,河北氏をはじめ大勢の方々に発表を聴いていただきました。 彗星研究の第一人者である河北氏からはデータの解析方法,観測結果のまとめ方についてアドバイスをいただきました。 また,同じISON彗星の研究に取り組んだ前橋女子高等学校地学部の皆さんと研究内容について意見を交換しました。
 今回のシンポジウムは,科学技術の発展に大きく携わっている科学者と直接話をすることができる貴重な機会となりました。 益川教授,川口氏,竹内氏,河北氏が私たちに伝えてくださったことを糧に,今後も自分たちの研究を進めていこうと思います。

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