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茶畑 SR times 第26号 「防災講演会」

SR26号ロゴ

SR26号写真1
 9月11日(木)、講師にHOLITON波力研究所所長の堀込(ほりこみ)智之先生を学校にお招きし,防災講演会が行われました。今回の防災講演会では, 「地形によって変化した大津波と水の動き―津波実験と石巻(いしのまき)地方の現地調査を通して―」というテーマで, 津波のメカニズムや東日本大震災当時の津波の動きなどについてお話をいただきました。本号では講演の中から「津波発生装置での実験」と「震災時の津波」 についてお伝えします。

●津波発生装置による実験と水の動き方


      津波を理解するには?→水の流れを理解することが必要


 津波発生装置に板を入れ左右に動かすことで波を発生させると,壁に反射した波が壁に向かう波とぶつかり定常波ができます。しかし,水に密度が水とほぼ同じ浮体を入れてもその位置が変わらないことから, 水がほとんど動いていないことがわかります。その理由は波がその場で円運動をしているからです(図参照)。円運動は水の境界面に近いほど激しく,波の波長の半分の深さまでしか起きません。 この円運動は津波と大きく関係しています。
SR26号写真2        ↑図:水の円運動の模式図
 津波が起こる際,まず海底の地殻変動により海面が隆起し,それによって発生した波が陸に向かっていきます。このとき陸に近づくほど水深が浅くなり, 円運動が行えなくなります。そしてそのエネルギーが振動となり,強い波が発生するのです。
 津波の威力については津波発生の原理の通り,海上では沖合より浅瀬のほうが波の力は強く,陸地では複雑な地形より平地のほうがエネルギーが分散されるため威力が小さくなります。 また,山がある場合,津波が山にぶつかったところで波が集中し威力が強まります。
SR26号写真3SR26号写真4

●震災発生当時の津波の動き


 講演の中で,掘込先生がご自身による現地調査を基に,震災当時の状況をお話ししてくださいました。ここではその内容を紹介します。
 東日本大震災において発生した津波は,長さが約500キロメートルにもおよび,海上でも確認できるほど強力なものでした。進行した津波により,海岸線付近の地域では, ほとんどの家屋が流されましたが,津波は平野に入った後は威力が弱まり,しだいに流される家は減少していきました。しかしながら内陸でも狭まった地形では, 津波が進行するほど波の高さ・強さが上昇し,甚大な被害をもたらしました。
SR265号写真5     ↑地図:石巻地区北上川周辺の概略図(ピンク色の部分は浸水した地域を表している)
 北上川流域では,津波は川の堤防に反射し,最終的に海岸から約49キロメートル遡上しました。また,◎で示されている石巻市の間垣(まがき)では, 地震と津波の両方の影響で近くの堤防が決壊し,町が壊滅状態となりました。(地図参照)
SR25号写真6
 北上川のように地形がV字状になっているところで津波の威力が増すのは,入り組んだ地形に波が集中するため,津波の持つエネルギーが大きくなるからです。 このような現象は,宮城県や岩手県に見られる複雑に入り組んだリアス海岸で最も強くなりやすいとされます。
 今回の震災では,内陸部まで津波が侵入したことで大きな被害を受けました。沿岸地域と同様に,上陸した津波が地形によってどのように変化して内陸を襲うか, どこに危険が潜んでいるかを明らかにした上で内陸の防災対策を立て,内陸の住民が自分の住んでいる地域を襲う津波をイメージできるように防災教育を充実しなければなりません。

編集後記


 講演会の最後に,科学的に仕組みを理解することが大切になるということを先生がおっしゃっていました。 今回の先生の講演会から学術研究における科学的思考力の重要性を再認識できたのではないでしょうか。また,この防災講演会は後期の学術研究基礎のスタート地点となるものでした。 10月から始まった災害研究では前期の学術研究基礎よりもテーマが幅広く設定でき,活動範囲も広がります。前期の反省も生かしつつ,新たな研究に取り組んでいきましょう!
参考文献:「地形によって変化した大津波と水の動き」 堀込智之 著

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