SSH(スーパーサイエンスハイスクール)

茶畑 SR times 第4号 「網地島調査報告号」


 例年、本校は宮城県石巻市にある網地島で生物や地学などの分野の研究活動を行っていました。しかし、東日本大震災での被災により、これまでのように網地島で研究活動を行うことができなくなりました。
 現在、本校67回生はSSH活動の一環として、10月以降は災害研究を行っています。災害研究を行う中で、一部の研究チームが、自らの災害研究を進めることや震災に関するアンケートをとり、来年以降の研究にも生かす基礎調査をすることを目的として、10月20日から21日にかけて網地島へ調査に行きました。
  アンケートは、網地島の人口が約400人であるのに対して、42人から回答を得ることができたので、網地島の人口の約10%というデータになりました。アンケートの結果は以下の通りです。
SR4号グラフ1
SR4号グラフ2
 これらのアンケートのほかにも、記述していただく形式で、いくつかアンケートをとりました。以下は、それらの中から一部抜き出したものです。(質問の内容と回答が一致していないものもありますが、 島の方々からいただいた情報をそのまま載せていますのでご了承ください。)

質問:震災以降、地盤にはどのような変化がありましたか。
回答:○120cmほど地盤が沈下した。
    ○地盤沈下によって海水が流入した。
    ○畑や道路脇に穴ができ、日々大きくなっている。

質問:被害によって、どのような漁業活動が行えなくなりましたか。
回答:○船がなくなったため、全ての漁業活動を行えない。
    ○あわびや鹿尾菜などの海藻、まるこ(貝)が獲れなくなった。
    ○さし網、カゴ漁、遊漁船が全くできなくなった。

質問:地震発生直後に何を考えましたか。
回答:○何も考えられなかった。
    ○普段の人間の行いに罰が当たったと思った。
    ○大きな津波が来ると思った。
    ○何の心配もなく、何も考えなかった。

質問:津波による被害状況を見て、何を思いましたか。
回答:○思い出の場所がなくなって悲しい。
    ○自然の力の大きさに圧倒され、大きな恐怖を感じた。
    ○想像以上に(予想よりも)大丈夫でよかった。
    ○専門家にも津波は来ないと言われていたが大津波が来た。
     甘く見てはいけないと思った。

<考察>
 上記で、「震災以降も漁業を続けているかどうか」に着目しました。「その他」という答えが36%、「続けていない」も43%に達していました。「その他」の中には、「続けたい」という意志はあるものの、海の環境や、船などの必要な機材が整わず、これまでのようにできていないという意見が含まれていると考えられます。
 また、漁業を続けている人が21%いますが、「漁業による収入の変化」を見ると、収入に変化がない人は7%しかいません。漁業を続けている人も収入は減っていると考えられます。
 以上から漁業における復興は、震災から1年半以上経過した今もあまり進んでいないといえます。

〈編集後記〉
  実際に網地島に行ってみると、多角的に学べることがたくさんありました。区長さんや、たった一軒で網地島の方々の健康を支えている病院の先生、島民の方々のお話はもちろん、見聞したものすべてが学びに繋がるとても価値あるものとなりました。
  「津波が来て大変ではなかったか」と島民の方々に尋ねると、皆が口を揃えて「大変ではなかった。」とお答えになったことに驚きを感じました。都市部ではライフラインが機能せず、食料についても入手困難な状況にありましたが、網地島では日頃から自給自足に近い生活を送っているため、大きな困難がなかったというのです。僕はその時、島には何もないようでいて全てがあるのだと思いました。そして私達のあるべき姿は、防御ではなく、受容ではないかと感じました。
  今後もこの活動を機会に災害研究をよりよいものとするために頑張りたいと思います。
                         (編集:学術研究委員長 午來義顕)

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